アープの伝説
昔むかし アープという男の子が
アップル川の上流の小さな町にすんでいました。
もうすぐ大人の仲間入りをする年齢になった
アープは、狩のしかたも憶え、
元気で明るい彼には、当然ながら婚約者とも言える
仲の良い女の子もおりました。
でも 二人が結ばれることはなかった
アープが”邪鱗痘”という、この地方特有の皮膚病に
かかってしまったからです。
当時はまだ医学が発達していなかったので、
村の人は、神のたたりだとアープを怖れ
憎みました。

”僕が一体なにをしたの?神様?”
アープには、神を怒らせた心当たりがなかったけれど
家族みんなを焼き殺されないために
アープは村から出ていくしかありませんでした。
”ごめんなさい”
 アープの婚約者だった少女は
泣きながら追放の石つぶてを放った。
アープは、健康、家族、婚約者、人間関係など
 人として生きてゆく上で大切なものをすべて
  失ってしまいました。
アープの足
アープは 何も考えることもできず
無気力なまま、何日も森の中を彷徨いました。
のどが渇き水を飲めば
川に映る醜い自分の姿に憎悪し
寂しい夜には、
失った家族や、恋しい元婚約者を想い
絶望を感じた。
絶えず体の痒さは止まず その事実は
彼に、すべてを失っただけではなく、
これから苦痛は以外なにも
手に入れることはできないと宣告してるかの
ようだった・・・。
”僕が一体なにをしたっていうんだ”
アープは、彼にこのような運命を与えた
神をうらみそうになった。
何日かたった ある晩
強烈な絶望が彼を襲った。
つたで丸い環を作り
環を頭に通し  片側を木の枝にしばる
そして
自由になりたかった
けれど枝は その重みに耐えられなかった。
アープは 地面に叩きつけられた
形の悪い 小さなりんごの実が
アープの頭に落ちてきた。
それは・・彼がたった今枝を折った
  木に生っていた最後の実だった。
よく見れば その木は
ひどく痩せ細り 弱っているかのようでした
弱り果て、今にも枯れようとしているその木は
まるで、アープの心のようでした。
”それでも 生きろと言うんだね?”
 彼がにぎった 小さな形の悪い実は
 彼の心に残っていた最後の希望そのものでした。
”りんごの木よ
 君の枝を折ったのに励ましてくれるんだね。”
  アープは泣きながら その実をかじった。

 それはかなりスッパイ実だったけれど
   孤独なアープの心を潤おす何かがあった。
いつか 神様が勘違いに気づいて
彼の呪いを解いてくれるかもしれない。
生きる!アープは決心しました。
1日でも長く生き続けることを!
その日まで 僕は動けない君の世話をするよ!
美味しい土を持ってくる
水も注ぎにくるよ。
お互い頑張ろう! 

  そして、月日は流れた

寒い長い冬
花開く春。
緑茂る夏。
実りの秋。
洞窟の中で横たわるアープ
もう病気はアープの命の火を消す所まで
進んでしまっていた。
りんごの木は、何日も顔を見せない
アープのことが心配になった。

アープの薬草畑。
アープが集めてきた薬石
アープ大丈夫?
君は?だれだ?

あなたが世話をしてくださった
 りんごの木の精です。

アープのおかげで、今年はいっぱい
実がなりましたよ。
そのお礼を言いたくてここまでやってきました。
なあ、ぼくは一体どんなことで
神様を怒らせてしまい、こんな呪いを
受けてしまったんだい?
僕のなにがいけなかったんだい?
それは病気ですよ。

あなたは呪われているわけではありませんよ。
あなたほど、りっぱな人を私は知りません。

 りんごの木の精はそう言いました

ありがとう。

じゃあ、僕は天国へ行けるんだね?


残念ながら精霊である
わたしの姿が見えるということは、
その時は近いと思います。
もし僕のような者が、
ここにやってきたら
薬草は、肌に塗るよりも、飲んだ方が
効くと伝えてくれるかい?
いろいろ試したけれど、
僕は痛みや痒みを和らげる草しか
見つけられなかった。
もし誰かが、この病を治す方法を見つけたら、
そいつに、君のリンゴを食べさせてやって
くれるかい?
君と僕の自慢の実を、与えよう・・。
やっと楽になれる・・。
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